ボエーニングシュテットBoenningstedt、ハンブルク郊外にある小さな街で年に1回開催されるワインメッセ「ヴィノレル2002」(ちなみにVINORELLの名前の由来は、VINOは御存じの通りワインの事。RELLはハンブルク郊外の街RELLINGENからとっている)のレポートを紹介しよう。
主催者はリンドヒェンというワイン屋さんである。1995年から始めたワインメッセは今年で7年目。第1回は15のワイン醸造所が参加、300人の入場者だったそうだ。今年はなんと世界各国から74のワイン醸造所と約350のワイン(シャンペン・コーナーもあった!)が集合し、入場者は3000人以上!ワイングルメ達が各地のワインを堪能していった。
まず 入場料は5ユーロ(安い!)受付嬢から小さなグラスと16ページにビッシリ書込まれた各醸造所のワインリストを受取る。そのワインリストには各醸造所自慢のワインが各種、値段と一緒に掲載されている。またメッセ開催中に購入すると10%から50%の割引きが用意されているから気に入ったのがあれば即購入なのである。

会場風景

オーナー家族のユングリングさん自らが自慢のリースリングワインをプレゼンテーション。ドイツリースリングプライスで最高賞を受賞したのは1999年産ブラウネベルガーユファーリースリング1999 Brauneberger Juffer Riesling Kabinett trocken

ポルトギーザー、リバナー、リースリングなど自慢のワインをセレクト。手前にある紫色のセンベイのようなものがワインの結晶なのだ。↓

さっそく中に入ってみよう。天井まで10m以上はあるワイン倉庫の中に各醸造所が自慢のワインを小さなテーブルに所狭しと並べている。スタンド6番にドイツリースリングプライスで最高賞を受賞(1999年産ブラウネベルガー・ユファー・リースリング)したモーゼル・ケステンのパウリンスホフ醸造所のブースを発見。オーナー家族のユングリングさん自ら自慢のワインをプレゼンテーションしていた。スタンド9番には過去3年間の間に様々な賞を獲得したラインファルツのベーグミュラー醸造所がリバナー、ポルトギーザーなど約8種類のワインが展示され、ワイン樽の中で蓄積されたというワインの結晶が綺麗だった。(上写真参照)さてその隣のスタンド10番にはラインファルツのシューテイングスターであるアクセル・ナイス氏のブースがあった。10種類以上のワインを展示、お薦めのシュペートブルグンダーを試飲した。ビロードのような滑らかさとコクがありバリック樽仕上げ特有のアロマが豊富であった。日本の地鶏料理などにはピッタリだと思う。ナイス氏曰くハンブルクの中華料理店にワインを卸しているとの事で納得した。しかし、小さいグラスに少しづつではあるが試飲していると結構な量になるようだ。たった3カ所しか試していないのに、もうホロ酔い加減になっている。この調子ではスタンド52番まで辿り着く頃には出来上がってしまって試飲どころではなくなりそうだ。そこでさっそく作戦を変更した。各地方の美味しそうな醸造所を選択して、しかもそこのお薦めワインしか試飲しないという超贅沢な作戦である。
先を急ごう、ラインヘッセン、バーデンを横目に辿り着いたのはフランスはシャンパーニュでござる。チョット極端ではあるが、いきなりシャンパンなのだ。バロン・アルベルト醸造所のケラーマイスターが直々に94年産のシャンパーニュブルをグラスに注いでくれる。シャンパン特有のキメ細かい泡が綺麗なのです。グイッと咽越しも秀逸!ここではロゼも含めて4種類全部試飲してしまった。ウ〜ム最高!(作戦変更全然実行せず反省!)
各ブースにはバゲット・パンが口直しの為に用意されているが、14時を回っており軽く食事でもと主催者が用意していたデカテントの中へ行ってみた。各種チーズ、エルプセンズッペ、ペネと本当に軽食が用意されていて、なんとこれ全てタダ!そう無料なのです。リンドヘンさんて太っ腹なのですね!エルプセンズッペを2杯、ペネを1杯お腹に詰め込み再び戦場?へ。スタンド27番からボルドーワインが勢揃い!ここは作戦通りお薦めボルドーを1品のみ試飲。フランス語訛りのドイツ語に愛着を感じながらも先を急ぐ。約5醸造所を経てスタンド37番からはトスカ−ナ地方のベッチカンテイーナ醸造所のお薦めキャンテイと97年産ビノノビレなんてろかんてろの高いワインを頂戴する。ここまで来ると段々舌の感覚が麻痺してくるのか?飲み過ぎているのか?身体が軽くてケラーマイスターとの会話が長〜くなる?!バロロから出展していたビルナ夫妻はAzienda Agricola Virnaのオーナー兼ケラーマイスターである。お薦めのバロロヴィグナサルマッサ(約27ユーロ)を試飲。この夫妻は今年、日本へワインの売込みに行ったとの事であった。かなり積極的な夫妻である。さ〜て、次はスタンド43番のラマンチャのボデガスロツアノ醸造所を訪ねた。気分はラマンチャの男という感じでケラーマイスターのお薦めは97年産オリスタン・レセルバ。デカンターから注がれたラマンチャワインは以外と美味しかった。値段も5ユーロならもう購入するしかないですね!ハイ。さて次はスペインだ。リョーハのドン・マキシミラーノ・プリメロ醸造所では96年産ドミニノ・ドウコンテを試飲。ウ〜ン、こってりしたホタルイカにんにくバター炒めが食べたくなった。ガンバースアラヒロにも良さそう。(文章を書いてると本当にお腹が空いてくる!今日の晩飯は血のしたたるサーロインステーキに99年産のロリノンリョーハで決り!)スタンド48番はポルトガルのアンドレセン醸造所。随分前になるがファロの空港から近いアルガーベに1週間ロッジを借りて休暇(この近辺は素敵なゴルフ場が沢山ある)を楽しんだ事がある。朝は近所のマルクトでイカや野菜を買い込みロッジで自炊するのである。もちろん醤油とワサビはハンブルクから持参している。とにかくイカが新鮮で美味しかった事を覚えている。鶏の手羽を唐辛子で炒めた「ピリピリ」=(ポルトガル語です)も美味であった。話は飛んでしまったが、このブースでは68年産ポートワイン、コルヘイタ68を注いでもらった。独特の香りと甘味が素晴しく、ポルトガルの太陽と海を暫し思い浮かべた。さてさてチリ、南アフリカ、オーストラリアを横目に辿り着いたのはカリフォルニア!最近メキメキとヨーロッパ市場で人気を集めてきているギャロ醸造所だ。カベルネソービョン、ピノノワール、などなど約20種類の自慢ワインを展示している。まずは98年産シャルドネギャロを
試飲。まろやかな舌障りである。次が年間600本しか出荷出来ないという幻のワイン、エステートの97年産シャルドネギャロを注いでもらう。カリフォルニアの大空と大地を彷佛とさせる美味しいワインである。値段は1本47ユーロ。購入出来る範囲ではあるが、僕なら多分美味しいリースリング2本を選ぶだろうな。
実は今回のワインメッセはそんなに期待していなかったのでお昼から1時間くらいプラ〜と見学・試飲して、その後ゴルフをプレイする予定であったが、もうどうでもよくなった。ひたすら白、赤、ロゼ、の誘惑に身を委ねた午後であった。正直言ってハンブルク近郊にこんなに沢山のバイヤーやらワインおたくがいたのかと驚いている。またリンドヘンのオルガニゼーションには感心するばかりである。ワインメッセに来場するお客にはボエーニングシュテットの駅から送迎のバスを手配し、子供連れには子供達の遊び場を会場内に設営し、お腹が空いたら軽い食事を無料で用意するなど、本当に至れり尽せりのサ−ビス精神はドイツ人とは思われない気の配り様であった。しかも入場料はたったの5ユーロ!このワインメッセに参加出来ない人はゼルバーショルドだな。2003年が楽しみである。  (ヴィノヒロ)

RINDCHEN WEINKONTOR


Zentrallager+Kontor
Ellerhorst 1 ・Boenningstedt
Tel.: 040-556202

Hofweg 62・Hamburg
Tel.: 040-22660990/91

Hauptstr. 96・Rellingen
Tel.: 04101-552477

Hittfelder Landstr.19・Seevetal
Tel.: 04105-159901

ラインファルツのシューテイングスター、アクセル・ナイス氏が自ら自慢のワインを注ぐ!
イタリアからの売込みに駆け付けたアチエンダアグリコラビルナ醸造所のビルナ婦人。イタリア訛りのドイツ語でバイヤー達とバトル!頼もしい!
ラマンチャの男は温厚な人柄で来場者の些細な質問にでも笑顔で応対!
気に入った醸造所で満足するまで試飲していたカップルも多数見かけた!
お腹が空いてきたら軽く食事。もちろん無料!
限定600本生産の97年産シャルドネギャロ。下のお兄さんはギャロ醸造所のドイツ販売部員。

追伸: 10月11日にドイツワイン女王が選出された。第54代目(2002/2003)はユーディト・ ホンラート(22歳)、 ランゲンロンツハイム(ライン・ビンゲン南郊7km)のナーエ・ブドウ栽培地方のワイン醸造家の娘さんで、 神学を専攻する大学生。なかなかの美人です!(クリック拡大)
左は前回の女王ペトラ・ギャルトナーさんから冠をかぶせてもらってニッコリ笑顔のユーディト・ホンラートさん。年間200回以上のドイツワインの行事に出席しなければならない激務です!頑張ってネ!