『北ドイツの真珠』と呼ばれるツェレ。大戦の被害を全く受けなかった事が幸いし、どんな小さな路地にもカラフルな装飾を凝らした古い木組みの美しい家がギッシリ並んでいる旧市街地は、まるで童話の世界から抜け出てきたような可愛さがある。エリカの原生地で有名なリューネブルガー・ハイデの南端に位置し、そのゲートウエイとしても有名な街だ。

この街が始めて歴史に登場するのは西暦990年。当時はケルーと呼ばれ、アラー川を3kmほど溯ったところにあった。現在ここはアルテンツェレ(Altencelle) と呼ばれている。 ツェレを現在の場所に移したのは、当時ブラウンシュバイクとリューネブルグを治めていたオットー・デル・シュトレンゲ公爵(Herzog Otto der Strenge)で1292年のことである。1301年に都市の権利を獲得し独立したが、長くリューネブルグ公の居城地として栄え、ハノーバー王国そしてプロイセンに属していた。

ツェレの産業化は1845年、鉄道が敷かれたことによって進んだ。ツェレ周辺は、ドイツの石油工業発祥の地と呼ばれている。ここで長い伝統を持つユニークな産業を紹介しよう。
1つはイタリア人グイゼッテイによって始められたワックス工場で、ツェレ城をメインにロウソクを供給している。もう1つはドクターメック(Dr. Meck)の工場で、歴史的な木管楽器を製造している。そして3番目はヴィッヒマン(Wichmann) これはヨーロッパで一番大きな洋ラン栽培場 である。
ショウルームは無料で見学出来る。
住所:Tannholzweg 1-3
電話:05141-93720
サイト:Orchideenzucht Wichmann

ツェレの旧市街地はほとんど歩行者天国になっていて、1時間半くらいで歩いて回る事が出来る。
まず最初にツェレ城を訪ねてみよう。水濠に囲まれ、16世紀にルネッサンス様式に改築され、後にバロック様式が加わった不思議なお城である。この中には劇場があり、今日でも様々なプログラムが用意されていて、バロック様式の劇場としてはドイツで1番古いとされている。また城内にある華麗なルネッサンス様式の礼拝堂は一見の価値がある。
お城の向いにあるのがボーマン博物館 (Bomann-Museum) リューネブルガーハイデ地方の民俗、農業文化、手工芸、ツェレの歴史、ハノーファーの軍史などを展示している。
博物館を後にしてシュテッヒバーン(Stechbahn)を歩いてみよう。この通りは、かつて騎士達の馬上槍試合が行われたところだ。レーヴェン獅子薬局(Loewen Apotheke)前の石畳の蹄鉄には1471年の文字が見て取れる。この『銀の蹄鉄』を撫でると幸せになれるとの言い伝えがある..........ので僕もしっかり撫でてきたがまだその兆候は無い。(ひょっとして何回も撫でたのがいけなかったかナ.........?)そこからカランド小路(Kalandgasse)に入っていくとゴシック様式の市教会(Stadtkirche) があらわれてくる。市教会では中世の頃と同じように8時15分と18時30分に塔からトランペットの賛美歌が旧市街地中に鳴り響く。
ちょうど取材の時に結婚式のカップルに巡り会った。まずは馬車で市内を回って教会に入り儀式を一通り終えて教会の扉を開けると花束の洗礼を受ける。新郎の教え子と思われる若き騎士達がムチでアーチを作って結婚を称える。非常に微笑ましい光景であった。いつまでもお幸せに!さて、教会を後にして次は市庁舎に行ってみよう。石造りのルネッサンス様式の市庁舎。地下にはレストラン・ラーツケラーがあり、ゴシック様式の歴史ある部屋で郷土料理が味わえる。
またツェレで郷土料理、家庭料理といえば、愛らしいブタの看板が目印のレストラン、シュバイン・シュルツ(Schwein-Schulze)がお薦め! ユーモアたっぷりのオーナー兼料理人ウド・レーダーさん、ここツェレではちょっとした有名人である。ヘルムート・コールを始めゲルハルド・シュレーダー現ドイツ首相などの著名人達がこのレストランに足を運んでいるのである。(その時の記念写真が壁面に沢山飾ってある)彼自ら食事を運んで来る家庭料理はボリュームたっぷり、味も十分満喫できる。是非お試しあれ!
Schwein-Schulze: Neue Strasse 36
電話:05141-22944

アクセス:
ハンブルク中央駅から急行列車で約1時間15分。詳細はDie Bahnを参照。

ツェレ観光局:Tourismus Region Celle GmbH
住所:Markt 6, 29221 Celle
Webサイト:www.celle .de

童話から抜け出てきたような可愛い家が沢山!
ツェレ城の中庭にある紋章
ツェレ城
ボーマン博物館と市教会
撫でると幸せになれるという「銀の蹄鉄」
新郎新婦を祝う騎士達
次のパーテイ会場への移動用オープンカー
レストラン・ラーツケラー
レストラン・シュバインシュルツ
オーナー兼料理人のウドレーダー氏
シュニッツェルとフェファーリング茸
Cordon bleu はかなりのボリューム!
市庁舎前にある旧市街地のミニチュア
旧市街地には可愛い看板も一杯!